2010年6月21日月曜日

中島ゆうきの島づくり人材養成塾に行ってきました



  去る6月13日、愛媛県松山市の中島へ行ってきました。中島では泉精一さんが塾長となって、「中島ゆうきの島づくり人材養成塾」として今年4月から来年の2月まで、毎月有機農業の勉強会が開かれています。これは愛媛県の平成22年度離島人材育成基金助成事業です。  これまでに、土作りと生姜植付(4月)、栄養週期、サツマイモ、豆植付(5月)の勉強会が行われ、今回は天恵緑汁など自然農業の資材作りがテーマで、姫野が講師として出かけて行きました。











 小雨の降る天気にも関わらず、会場の中島文化センターには30人あまりの人たちが集まっていました。島外からの参加者も多く、関心の高さを感じました。司会は若手のホープ岡田義之さん。まずは塾長の泉さんの挨拶から始まり、私が紹介されました。新刊の「はじめよう!自然農業」は、教科書としてほとんどの人が買ってくださっているという事で、感激です。自然農業についての簡単な紹介の後、さっそく資材作りに入りました。

 まずは漢方栄養剤の下準備です。漢方薬の当帰、甘草、桂皮にそれぞれビール(発泡酒でしたが)を注いでふやかします。次に、ニンニクと生姜の皮をみんなでむいて、それぞれ同量の黒砂糖をまぶしました。漢方薬の方もふやけたら黒砂糖を入れました。これで3~5日で発酵したら焼酎を注ぎます。この日は黒砂糖の段階まで行いました。






























 午前中は、これで終わり、午後からは一階の駐車場で作業を行いました。天恵緑汁はセリとタケノコが準備されていました。セリは手で半分くらいにちぎり、同量の黒砂糖をまぶして、カメにぎっしり詰めました。重しをすると少し下がるので、カメの大きさに対して材料が少なかったようです。



 タケノコは皮のまま、切って砂糖をまぶし、カメに入れました。こちらは量がたっぷりあったので、カメの大きさに対して丁度良い量でした。どちらも和紙でふたをしてひもで結びました。和紙には材料と日付が書かれました。




 次は水溶性カルシウムです。泉さんが飼育する有精卵の殻を袋の中で砕いて、フライパンで焼いて行きます。火は弱火にして、真っ黒にならないように注意します。灰色から薄茶色になったら、火を止めて、これをビンに入れ、玄米酢を注ぎます。すると反応して、殻が上へあがったり、下がったりし始めます。この反応がなくなったら飽和状態になったということで出来上がりです。1000倍にして、カルシウムを効かせたいときに使用します。これは吸収が良いのです。

 次は水溶性リン酸カルシウムですが、普通は豚や牛の骨を焼いて砕きますが、この日は、もっとも手に入りやすいという事で鶏の骨を使用しました。鶏の骨は天日にさらしてあったので、油や肉がついておらず、真っ白でした。それらを取る目的で焼きますが、ないので、そのまま砕きました。それを同じく玄米酢につけました。こちらは、反応はゆっくりなので、目には見えません。

 乳酸菌血清作りもしました。米の最初のとぎ汁を置いて3日目のものが準備されていました。ビンに牛乳を入れてそれにとぎ汁を注ぎます。しばらく置くと、たんぱく質と脂肪が分離して浮いてくるのですが、この日は混合しただけで終わりました。分離したら、下の液をとって保存します。




 最後は土着微生物の元だね作りです。杉の箱にご飯を入れて、仕込んで4日目。採取してきた土着微生物です。これが1番です。これを同量の黒砂糖に浸けます。これが土着微生物2番です。これを水で薄めて米ぬかと混合し、発酵させたものが土着微生物3番、これがいわゆる元だねです。しかし、自然農業ではこのままでは使用しません。この3番に同量の土を混ぜて発酵させたものを使用します。これが4番です。土は山の赤土と畑の土を半々にして混合します。


 この4番に炭や油粕などを混ぜてつくるのが土着微生物5番です。これがいわゆるボカシ肥料です。
この日は3番の仕込みをやりましたが、箱の中で行ったせいもあり、水分調整が難しかったです。




 最後に研修室でもう一度まとめの話をして、質疑応答です。納豆菌や光合成細菌などの培養はしないか?など、かなり突っ込んだ質問もあり、熱心さが伺われました。

 この日は愛媛大学の鶴見先生がいらっしゃっていました。鶴見先生が以前千葉県の農業高校にいたときにお世話になったことがあり、また、岩手での趙先生の講演会にも参加されていたそうです。愛媛大学ではおもしろい試みがなされていました。愛媛で就農予定の学生ならば、AO試験(自己推薦で、面接やレポート提出で審査)で入学できるというもの。ちょうど、泉さんの家に研修に入っていた学生が、そうやって入学している学生で、将来は親の後を継いで農業をやる予定との事。勉強の意欲を持っている若い人には大いに勉強してほしいですね。楽しみですね。