2008年2月24日日曜日

畜産専門講習会を受けに韓国へ行ってきます


  明日25日より自然農業畜産専門講習会を受講するため、韓国へ行ってきます。日程は3泊4日です。養鶏・養豚・繁殖肥育牛についての講習で、韓国自然農業協会の本部でもある自然農業生活学校で開かれます。

 今回受講する事になったのは、自分自身の勉強の為はもちろん、日本の畜産農家の「飼料問題」の解決のヒントを得たいという事、さらに自然農業の畜産に関する単行本の原稿の為でもあります。

 写真は韓国で使用されている教科書です。上が養鶏と養豚、下が韓牛の繁殖・肥育の教科書です。事前に韓国から送ってもらいました。
以前、日本で畜産専門講習会を開くために翻訳した教科書はありますが、希望者が少なくて開催できないまますでに10年以上たっています。新しい資料や情報を盛り込んで教科書を作り直す必要もあります。

 また、当時は牛の方は含まれていませんでした。牛は飼料の自給を考えると、かなり広い面積が必要なので、自然農業の理想形態からは外れるので、あまり薦めない、というのが趙先生の立場でした。しかし、その後、牛を飼っている会員農家からの要望もあり、自然農業式の牛舎も設計され、専門講習会も開かれるようになったそうです。
昨年11月済州島で開催された自然農業の国際大会のときには、金炳杉さんという繁殖牛農家を見学しましたが、牛舎は発酵床になっていて臭いもなく、牛がとても健康に育っているのを見せてもらいました。なんとオスメス産み分け法もあって、90%メスを生産するのに成功しているとか。
 ともかく、あのでかい牛が一日にする糞尿の量はものすごいものです。それが土着微生物の働きで床はきれいなものです。牛の皮膚もツヤツヤしていました。済州島ではオガクズが手に入りにくいそうです。そこで金さんは、土着微生物④番を床の土と混ぜるだけで発酵床を作っています。月に何回か、小さなパワーショベルで攪拌作業を行っています。改めて土着微生物のパワーのすごさにびっくりしました。

 3月7日~9日にはその牛舎も含めて、養鶏、養豚も見学できる視察ツアーがあります。また、このブログでも報告いたします。

2008年2月20日水曜日

タンカンが届きました


 今日、鹿児島の長崎大海さんからタンカンが届きました。タンカンは元々中国南部で栽培されていたポンカンとみかんの交配種で、名前の由来は売る人が丈の短い桶―短桶に入れて売り歩いていたところからタンカンとなったそうです。その後台湾にも伝わり、日本には50年ほど前に沖縄や屋久島、種子島などに導入され、生産されるようになったそうです。
 長崎さんは島ではなく、薩摩半島南端の南さつま市笠沙町です。





 写真のように皮は多少ごつごつしていますが、きれいなオレンジ色でツヤがあります。身がしっかりつまっているので皮がむきにくいです。でも食べるととてもジューシーで、甘さにびっくりしました。長崎さんによると糖度が14~16度もあったそうです。「自然農業のお陰で味が濃く、糖度も高くなりました」との事。
 ネットで検索すると「タンカンはみかん程甘くなくて、適度な酸味が良い云々」という記述がありました。一般的には長崎さんのタンカン程甘くないのかもしれませんね。「ビタミンCがみかんの2倍以上!」という記述が目立ちました。栄養分を強調するより、食べればわかるこの味!! 販売も順調との事。
 長崎さんのタンカンの樹に小鳥の巣が出来たそうです。「自然農業をやってて良かった、と思いました」とうれしそうに話していました。
 おいしいタンカンはもちろんですが、こういうお話を聞くと私もうれしくなります。

2008年2月11日月曜日

基本講習会が開催されました

 2月4日(月)から7日(木)まで、山形県高畠町「ゆうきの里・さんさん」で第22回自然農業基本講習会が開催されました。
 基本講習会というと、今までは月曜日から土曜日までの5泊6日の日程でした。しかし、今回は参加者数が少ないという事で内容を変更し、講義は趙漢珪先生が前回行ったときに撮影したDVDやスライドの上映と、自然農業を十年以上経験した役員の方々による体験報告を中心とした講義などを組み合わせた形で、日程も短く3泊4日で行われました。

 高畠町と言えば有機農業の発祥の地でもあり、取り組む農家が多いことでも有名です。会場となった「ゆうきの里・さんさん」
http://www.takahata.or.jp/user/sansan/


の和田民俗資料館は米沢市旧六郷村の旧家、古藤家の住宅を移築復元した物で、築230年以上もたったかやぶきの家です。有機農業の先駆者でもある星寛治さんなどが管理しており、有機農業を学ぶ人たちの研修や交流の場として利用されています。日本有機農業研究会の創始メンバーだった一楽照雄先生の記念碑も雪に埋まってそこにありました。
期間中は晴天が続きましたが、やはり雪国、屋根には雪降ろしをしなければならない程雪が積もっていました。福岡から来た者としては、一面の雪景色の美しさにうっとりしたり、軒から下がった2メートルものつららにびっくりしたり、部屋の中でも息が白くなる寒さに凍えたりしました。

 始めるまでは、趙先生が直接講義するのではなくDVDでの講習なので、どこまで自然農業基本講習会が成立するかとても心配しましたが、参加された方たちはDVDを熱心に見、おもしろい所では笑ったりしながら進められました。また愛媛の泉精一さん、熊本の作本征子さん、小関恭弘さん、志藤正一さんによる実践報告を中心とした講義では質疑応答も熱心に行われ、参加者の方から「具体的に聞けたのでよかった」「楽しい話が聞けて良かった」との感想がありました。
今回、DVDで録画した内の半分も上映出来なかったのですが、一つ一つの講義の中身が濃いので、最後に参加者の方の感想を聞くと「家族との関係について考えさせられた」「農業が楽しくなった」「微生物について再認識した」など、ほぼ今までの基本講習会に参加された方たちと同じような話を聞くことが出来、それなりに成功したのではないかと思います。

自然農業を自分たちの言葉で伝えるという訓練の一つとして良い機会だったとも言えます。 今回の経験を生かして、今後は参加者が少なくても、各地でDVDを利用して基本講習会が開けるのではないかと思います。今回は全般的にチョイスして上映しましたが、基本講習会全ての内容を前期、後期に分けて開催するという方法も考えられます。ともかく一週間というのは長い、というのが多くの方たちの意見でした。3泊4日や2泊3日なら参加しやすいのではないでしょうか。

いつもそうでしたが、今回もたくさんの会員の方たちから差し入れがありました。野菜、果物、卵などです。食堂のおばちゃんにたのんで料理に使っていただきましたし、みかんやイチゴは講義の合間に食べさせていただきました。自然農業の農畜産物がこんなにおいしいという事を実感することが出来、また先輩会員の皆さんの暖かい思いが感じられて、一同うれしくいただきました。


 写真は千葉の土屋喜信さんが送ってくださった人参です。左の普通の人参と比べてみてください!大きいですね。中はすも入ってなくて、甘い人参でした。生でぼりぼりかじりました。自然農業で栽培すると、小さいとか収量が減ると思っている人があるかもしれませんが、そんな事はないという証拠を見せ付けられた事にもなります。
 多くの方のご協力で出来ました。皆さん本当にありがとうございました。

2008年2月3日日曜日

黒豚を見に行ってきました


 昨日、大分の山下哲生さんの農場を訪ねました。山下さんとは昨年農文協の関係で中国へ行ったのですが、その時初めてお会いしました。山下さんはイギリスで放牧豚を学んだそうで、日本放牧協会の会長をされています。またブリティッシュ・バークシャーという黒豚の原種の種豚の販売をしています。
⇒有限会社 黒豚振興エージェンシー 
http://www.pigjapan.com/bbfarm/index.htm

 一緒に見学したのは、先月訪ねた熊本県菊池市の武藤計臣さん。武藤さんは以前自然農業協会の会員だった方で、現在は放牧養豚をされており、「走る豚」というブランド名で豚肉を販売されています。
 ⇒やまあい村 http://www.yamaai-mura.com/

 それから私の主人と二日前に初めて会った藤田直子さんです。藤田さんは昨年九月に東京で開かれた趙漢珪先生のセミナーに参加されて、福岡在住ということで最近事務局へ連絡されてこられたので、姫野が会いに行った縁です。

 山下さんは中国で発表されたとき放牧養豚の話をされたので、私はてっきり大分の農場でも放牧養豚をされていると思っていましたが、現在はされていませんでした。ここではイノシシが多くて取り組めないそうです。そこで千葉県に土地を見つけ、今年引っ越される予定だそうです。最初は鹿児島県の大隈で始めたそうで、「私は放牧養豚じゃなくて『放浪養豚』ですよ」と笑っていました。千葉ではブリティッシュ・バークシャー(以下BBとする)で放牧養豚という事で、理想の形態にたどりつけるわけです。

 全身を覆う白い防護服と長靴に履き替え、又養豚をなさっている武藤さんはシャワーを浴びて服も着替えるという準備をして、見学です。自然農業ではここまでした事がなかったのでびっくりしましたが、原種の育種をしているので病気には神経を使っているとの事でした。一般の豚舎では当たり前の事なのかもしれません。
 分娩舎では、生まれて2,3週間の子豚たちが、おっぱいを飲んだり、電灯のある部屋に固まって寝たりしていました。この黒豚は日本によくある黒豚(7,8頭)と違って産子数が8~11頭と、多目です。また出荷までの日数も7ヶ月だそうですから、一般の白豚(180~190日)よりは一ヶ月長いものの、普通の黒豚(230日)よりは短いそうです。
 親豚の豚舎では、イギリスから直輸入されたBBのオスやメスがそれぞれの豚房にいましたが、よく見ると顔が違います。毛なみも違うし、顔もくしゃっとしわがあるのとないのがあります。同じBBでも種類が違うそうです。
 もうすぐ千葉に引っ越すので、現在「店じまいセール中!」だそうです。BBの種豚が欲しい方は今がチャンス!

 肥育豚舎はオガクズ床になっていました。昨年、山下さんが土着微生物の発酵床にも取り組んでみたいと、おっしゃったので、プリへの原稿代のかわりに黒砂糖を送りました。本を読んで元種採取を試みたようですが、うまくいかなかったようです。また豚舎の構造上、太陽光線、換気の問題もあります。床の発酵にかなり人が手を加えてやれば、なんとか出来るのではないかと思いました。

 見学の後は、炭火でバーベキューです。山下さんが私たちのために用意してくださっていました。木陰で栽培している椎茸をとってきて、それも焼きました。ご飯と豚汁、パンも用意してありました。BBの肉は赤身がきれいで、塩コショウだけだったのですが、臭みもなく脂身もおいしかったです!帰りに手作りソーセージのおみやげまでいただきました。
 山下さん、ありがとうございました。