2010年4月20日火曜日

くまもと有機農業推進ネットワークの集会に参加してきました

 2010年4月18日、水俣市湯の鶴温泉「喜久屋」で、くまもと有機農業推進ネットワーク水俣・芦北交流会が開かれ、参加しました。くまもと有機農業推進ネットワークは、国の有機農業推進法を受けて、熊本県内の有機農業者のネットワークを作ろうという事で設立されました。現在各地域で交流会がひらかれているそうで、今回は水俣と芦北地区の交流会でした。参加者は50名以上集まり、今までで一番集まった、と主催者の方が言っていました。
 一部は東海大学の片野学先生の講演です。農薬の問題も深刻だが、硝酸性チッ素の問題も大きいと、各地の残留値を紹介しました。化学肥料のやりすぎだけでなく、牛をはじめとする家畜の厩堆肥の問題もある。お茶などは農協では反当50~60キロも施肥するよう指導しているそうです。それらが土の中にも残留して健康にも害を及ぼしている。日本で一番糖尿病の多いのが熊本県、ついで鹿児島県、宮崎県だそうです。


 この写真の本は片野先生が講演したものをまとめた小冊子です。めばえ社(1,050円) 資料も豊富に入れて編集してあり、読み応えのあるものになっています。





















 この交流会には水俣市長の参加されていました。


 普通、このような行事に市長本人が参加されるのはめずらしい事です。多いのは代理人があいさつ文を読み上げるというパターンです。


ところが水俣市長は、挨拶だけでなく、最後まで話を聞いていかれました。産業廃棄物施設反対で市民の支持を得て当選した市長です。

 これからは環境を考えた農業に、積極的に関わってほしいですね。

 二部は、水俣・芦北で活躍する有農業者の報告です。最初は田ノ浦の鶴田志郎さんです。

柑橘類の栽培を中心に行いながら、株式会社マルタという組織をたちあげ、現在、生産者は1200名うち97名が有機JASの認証を受けているそうです。お父さんは甘夏を作ったことで有名な鶴田源志さんで、自然農業の第一回の基本講習会の参加者でした。


 次は水俣で柑橘を栽培している吉田浩司さん。自然農業の若手ホープの一人です。11年前新田九州男さんとの出会いから自然農業に取り組み始め、現在は不知火、河内晩柑、グレープフルーツを中心に様々な柑橘を栽培し、年間を通して収入をあげる経営をしています。学んだことは①あせらない②油断しない③変化をおそれず。基盤造成だったこの十年、これからは外とのつながりも求めて行きたいと語った。

 三番目は反農連の大沢さん。最近は栃木県のアジア学院から、アジア・アフリカの有機農業指導者になるために研修生を受け入れるなど、国際交流も行っているそうだ。






 四番目は水俣不知火ネットワークの谷洋一さん。長年水俣病問題に取り組み、患者さんたちの農業を支えてきた。公害の水俣だからこそ、環境を考える農業をということで、30年以上前から無農薬栽培に取り組む。販売はポラン広場やビオマーケットなどに行っている。都会とのネットワークの広さはすごいものがあります。


 五番目は水俣でお茶を栽培する吉野啓子さん。栽培担当はご主人で、販売などその他の部分でサポートしてきた。水俣のお茶を通して、環境を守ることの大切さを訴えてきた。あるデパートの試飲販売を行っていたとき、水俣と聞いて、ひいてしまったお客さんがいた。そのとき初めて水俣に住んでいる人たちが受けてきた差別に気づかされた。最近は若い人が水俣病のことすら知らないという問題も出てきた。お茶の販売は伸び悩んでいるが、これからは海外に打って出たいと元気いっぱいの挨拶でした。

 最後は水俣で柑橘を栽培する新田九州男さん。自然農業に取り組むまで、様々な微生物資材をやってみたが、土着微生物が一番いい。お金をかければ儲からず、お金をかけなければもうかる、という名言が出ました。

 楽しそうに農業を語る姿が印象的でした。
写真は新田さんのうんしゅうみかんで作ったジュースです。
 甘くて適度に酸味もあり、深い味がします。


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