
二日目の午前中は趙漢珪先生による自然農業の畜産についての講義でした。畜舎環境、餌、成長点の潜在能力を引き出す等々、自然農業の特徴を養鶏、養豚、繁殖牛、肥育牛に渡って総合的に話してくださいました。
「はだかの共和国」に入国?
講義が終わるとすぐ自然養鶏に取り組む金潤洙(キム・ユンス)さんの農場へ向かいました。金潤洙さんの農場は入り口にロープがはってあって、「はだかの共和国」という看板がかかっています。笑顔で迎えてくれた金さんが「いらっしゃい。この共和国では私の言うことに従っていただきます。それが出来ない人は帰っていただきます」と言います。つまり、見学にあたって鶏をびっくりさせないために「赤い服を着ない」「大声をあげない」などの注意事項や、インスタント食品や添加物を持ち込まない、などの食を大事にするための約束を守ってほしいという事なのです。
金潤洙さんの取り組みがKBSテレビ(日本のNHKにあたる)で紹介されると見学者が次々訪れるようになり、昨年はなんと一万人も訪れたそうです。また地元の幼稚園や小学校からも体験学習で勉強しに来るそうで、その経験から色々な人たちが来ても鶏たちがストレスを感じないように上記のようなルールを設けるようになったのでしょう。
家の前に白い流木のような木が山のように積まれて、何やら芸術家が作ったオブジェのようです。昨年の台風で海岸に打ち寄せられたり、畑から除去したりして集められた木だそうです。彼はそれを子ども達が学習に来たときに積ませて教育の一つに活用しているそうです。「これで平均感覚を育てたり、物を創る喜びを教えることができます。台風の残骸を邪魔にするのではなく、あるものを活かす。これが自然農業の根本論理です」と説明してくれました。
料理は鶏の丸蒸し(烏骨鶏)、雑穀入り玄米ご飯、スクランブルエッグ。さらに特別サービスとして「友達にもらった」という有機ワインが出てきて、一同大喜びで乾杯!卵は塩も入れていないそうですが、味が濃くておいしかっ
お腹いっぱいになって、いよいよ見学です。鶏舎に行く前にまず、家の前の浄化装置の説明です。金さんの家では台所やトイレから出てくる排水をすべて自家装置で浄化しています。家の前の池に様々な草が植えてあって、微生物の働きで浄化するのです。
ポイントは池の中にある岩石。済州島は火山島ですから石は溶岩が冷えた火山岩。ですから石に穴がいっぱいあって微生物の棲家が多いのです。そしてもう一つにポイントは植えてある植物だそうです。浄化された池の水は、日照りが続いて飲み水が足りないときは鶏たちに給水されます。
烏骨鶏やアヒル、黒ウサギなどが一緒に飼われていました。これらもお客さんたちに供されるのでしょう。
鶏舎では(鶏種を聞きもらしたが)ボリスブラウンのような赤玉系の鶏が飼われていました。現在2,000羽いるそうです。もちろん臭いは全然ありません。同じく床の土を掴んで臭いを嗅いでも臭いません。金さんが排泄したばっかりの鶏糞を持ってきました。その鶏糞も臭いません。餌や床を通して土着微生物が鶏の体内に入るので、腸内できれいに消化されるのでしょう。改めて驚きです。
鶏たちもとても静かで落ち着いています。鶏舎内で平均して散らばっています。床が平均して発酵している証拠です。ただし、止まり木の下は固まって積み上がっていました。「済州島の冬はほとんど曇っていて晴れ間がありません。気温が低いので土着微生物の働きも鈍く、鶏舎
倉庫では土着微生物で発酵させた栄養液が大きなタンクに作られていました。冬場などの青物不足のときに準備して、葉ものの発酵餌も漬け込まれていました。畑では各種野菜がそれぞれ作られていました。極上の鶏糞があるので、肥料を買う必要はありません。天恵緑汁などを作る黒砂糖を買うぐらいだそうです。それも最近は多くは必要なくなってきたそうです。
食堂が別に作ってあり、中に入ると使用する自然農業の資材が展示してあり、壁には様々な写真が貼ってありました。KBSテレビ「環境スペシャル」で取材されたときに使用された写真は、一般の飼い方をした鶏と金さんの鶏を解体して内臓を比較したものでした。
こんなに違う自然養鶏の内臓


左の一般の飼い方の鶏は脂が多い。自然農業の鶏はレバーの色がきれいですね。砂のうの大きさが違いますね。中に大きな石が入っていて疎飼料を消化しているのがわかりますね。
雛のときから餌のやり方や環境が全然違いますか

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