2008年11月26日水曜日

固城郡の自然農業パプリカ栽培

 韓国の慶尚南道固城郡の稲作については前回報告しましたが、自然農業への取り組みは稲作だけではなく、果樹や野菜も取り組まれています。さらに自然養鶏も始まる予定だそうです。

今回はハウスでパプリカを栽培している姜俊淳(カン・ジュンスン)さんを紹介します。

彼はもともと会社務めをしていたそうですが、3年前に就農しました。

このハウスはガラス製で広さは3,000坪あります。知り合いがやめたのをそのまま引き受けたそうです。 ここにパプリカを35,000株植えています。









 最初は慣行農法で取り組みましたが、今年7月に自然農業の基本講習会を受講、続いて専門講習会も受講し、現在では無農薬でパプリカを栽培しています。

 ご覧下さい! この見事なパプリカ!

このパプリカは95%日本に輸出だそうです。ただ、現在は特に自然農業による栽培だからということで特別に出荷しているわけではないそうです。

最初趙漢珪先生が見に来たときは草丈が7メートルもあったそうです。でも収量はそれ程でもなかった。





それが自然農業に取り組み、指導通りに実践したところ、葉が厚くなって健康になりました。栄養週期に沿って液肥を施したら、無効分けつがなくなって、収量が増えました。 予想では30%は増えるだろうとの事です。
これから赤くなって行きます。別のハウスでは黄色いタイプも栽培しています。

アブラムシにはせっけん水で対処しているそうです。

潅水チューブを通して土着微生物の液肥や天恵緑汁、玄米酢など各種資材をやり、さらに必要に応じて葉面散布も行っています。











この日はKBSテレビの取材もあり、趙先生が現場で指導しているところが撮影されました。











自然農業全国大会で実践農家を見学しました(2)

 次に見学したのは八代市千丁町の園田崇博氏の農場です。
最初はキュウリのハウスです。苗を植えたばかりでした。ここは以前田んぼだったところで、最初始めた頃は肥料のやり方など管理に苦労したそうです。











次に見学したのはジャガイモの畑です。趙先生が葉の繁り具合を見て「これはチッ素が多すぎじゃないか」と言いました。自然農業の基本を忘れないようにとアドバイスしました。














 次に見学したのは松橋町の作本弘美氏の農場です。
土着微生物のボカシ専用の倉庫を見せてもらいました。作本さんはボカシを大量に作って、仲間の農家にも配っているのです。










材料は食品残滓をうまく活用しています。
これはくず大豆です。
また、納豆屋さんから出荷できない納豆ももらってきています。ボカシに納豆菌を繁殖させるためです。










作本さんはこのボカシを使って、レンコンを始めアスパラガスや白菜など様々な野菜を作っています。ボカシで味が良くなったと喜んでいました。





2008年11月21日金曜日

自然農業全国大会で実践農家を見学しました(1)


 最初に訪問したのは不知火町の澤村輝彦氏の農場です。





澤村さんは仲間の農家と肥後あゆみの会という組織を作り、共同出荷するなど活動を行っています。








    まず土着微生物の元種やボカシを製造する倉庫の見学です。土着微生物の培養は床をコンクリートではなく土の上で行うことが原則です。大量に製造するには機械を使用するので、どうしてもコンクリートにしがちですが、嫌気性発酵に向かいやすく均等に発酵できない点が問題です。そこで澤村さんは倉庫を作るときに、培養する場所はコンクリートを使用せず、土のままにしました。













   天恵緑汁、漢方栄養剤などを製造するのはこの大きなカメです。澤村さんはトマトの栽培中、ほぼ3,4日に一度玄米酢とともに散布するそうです。














 トマトのハウスは苗を植えたばかりでした。














 自然農業では苗は穴を掘って深く植えるのではなく、ベッドに乗せるだけです。この方が根が健康に育つのです。







第14回自然農業全国大会及び総会が開催されました


 去る10月29日30日、熊本県青年会館において第13回自然農業全国大会及び総会が開かれました。
 まず、泉精一会長の挨拶がありました。「今、食べ物に関しては大変な時代になりました。消費者は切実に安全な食を求めています。自然農業はすばらしい農業です。趙漢珪先生の活動で自然農業は今や世界に広がっています。新しい情報もあるようです。一緒に勉強して行きましょう!」という元気なアピールでした。
 その後、事務局姫野より2007年度の活動報告及び会計報告がなされ、拍手を持って承認されました。
 
 その後は趙漢珪先生の講演です。最近の世界的な指導活動の報告は目を瞠るようです。特に韓国の固城郡の成果はすばらしいものがあります。講演の後にパワーポイントで写真を写しながら報告がありました。
                               
会場には会員の方たちから送られた果物やお米、野菜、ジュースなどが展示されました。休憩時間には試食し、改めて自然農業による農産物の味の良いさを確認しました。会場に持ち込んで参加され方には説明を含めて今年の成果を報告していただきました。
   中でも鹿児島の高原さんの報告には驚きました。プリの趙先生の記事を読んで、豚の飼料に「土飼料」(土着微生物④番)を30%混ぜてあげたそうです。すると生長に支障がないばかりでなく、豚が病気もなく非常に健康で良かったと言うのです。エサに30%も混ぜるというのは相当勇気がいったと思います。それにしても土着微生物のパワーのすごさには驚きです。

2008年11月11日火曜日

固城郡の収穫祭に参加してきました


郡をあげて自然農業に取り組む固城郡



 去る10月韓国慶尚南道固城郡の「生命環境農業稲作初収穫祭」に参加しました。固城郡は郡守の李鶴烈氏が自然農業の導入に熱心で、郡をあげて取り組んでいるという話は聞いていました。しかし実際に現地に行ってみてその取り組みの徹底ぶりに驚きました。 左の写真は農業技術センターの正面玄関ですが、左の横断幕には「生命環境農業は大韓民国の農業革命であり、希望です」と書いてあります。


 次の写真は農業技術センターの「生命環境農業技術研究所」の建物です。別に部署を設け、研究所を作ったのです。生命環境農業というのが自然農業のことです。









   よく見るとあちこちに「2008年は生命環境農業の基盤造成の年」と掛かれたポスターが貼ってあり、センターの車にも、さらに職員の制服の胸ポケットにも同じキャッチフレーズが書いてあるのです。






























これは生命環境農業研究所の中の展示ハウスです。天窓のある自然農業式のハウスの中に資材やパネルがずらりと展示してあります。





 研究所で自然農業資材を共同作業で製造し、保管します。各家庭でも天恵緑汁などは製造されています。






 左の写真は魚のアミノ酸です。天恵緑汁でも漢方栄養剤でも、このようにふたの和紙の上にわらを丸めて置いておくと発酵が非常に良いそうです。











 これは米ヌカの袋の山です。土着微生物を培養するために集めたものです。来年の基盤造成に使用される予定です。











生産費は60%削減、収量は6%増収、価格は約2倍!
  会場に行く前に趙先生が田んぼへ案内してくださいました。取り組んだ田んぼは郡内16ヶ所で、全部で163ヘクタールですが、その中の一つです。趙先生が自ら田んぼへ降りて、イネをさわりながら「見て御覧なさい、すごいでしょ!」とやや興奮ぎみです。見るとイネは分げつも20~23本あり、粒数も多いのです。






 道ひとつ隔てた隣の慣行栽培の田を見ると、その差は歴然としています。除草はタニシとドジョウの投入で行われました。見渡してもヒエ一本生えていません。きれいなものです。
農業技術センターの報告書によると、収量はこの地域の平均的な収量が反当427㎏なのに対し、自然農業のイネは平均506kg.でした。約6%の増収です。農薬や化学肥料は使用せず、自然農業の資材(土着微生物、天恵緑汁、水溶性カルシウム、漢方栄養剤など)だけで栽培していますので生産費が60%削減され、反当54,445ウォン(約4,080円)しか掛からなかった。
 この自然農業で栽培された米は、固城郡の農協を通して慣行農法の米の2倍近い価格で販売されます。この行事の日にホームページも立ち上げられネット販売が始まりました。

 行事には地域の方だけでなく周辺からも参加があり、1000名近く集まりました。KBS,MBCなどテレビ局や新聞社の取材陣も来ていました。
 舞台で演じられる伝統舞踊では歌詞に「生命環境農業のイネを植えましょう」などと替え歌になって演じられました。






この地域への貢献を讃えて、趙漢珪先生は固城郡の名誉郡民証がこの日授与されました。