2011年11月16日水曜日

韓国の自然農業視察 5

 さらに広がる谷城郡の自然 農業





 このブログでも何度か紹介しましたが、全羅南道の谷城郡では郡をあげて自然農業に取り組んでいます。その中心は農業技術センターです。ここに自然農業の実習室があり、土着微生物や天恵緑汁、漢方栄養剤など自然農業の資材作りの実習をしますし、出来た資材の保管もし、農家が必要なときに必要な量を取りに来ることも出来ます。また、私たちのような見学者を受け入れているので、自然農業で使用するあらゆる資材がいつも展示されている場所でもあります。







「自然農業資材 実習場」の看板




 ここで自然農業チーム長の趙京勲(チョー・ギョンフン)氏が谷城郡での取り組みについて話してくれました。








 「私が自然農業を取り組むようになったのは近くの固城郡での稲作を見て驚いたからです。確認するために私は22回固城郡へ通いました。そして確信したのです。」現在ではその固城郡よりもここ谷城郡の方が熱心に取り組んでいるようで、年々自然農業による栽培面積は拡大していっています。


 例えば、稲作は2009年には23㏊だったのが、2010年には50㏊、2011年は70㏊、来年度は200㏊に増える予定です。作物も米だけでなく、メロン、サンチュ、ニラ、イチゴ、リンゴ、ウメ、ナシと増えていっています。さらに豚、鶏、牛と畜産への取り組みも始まっています。 上の写真は趙チーム長が今年収穫した稲のほ場の中で、301粒あった穂について説明しているところです。一般的には80~110粒。自然農業では平均180~200粒あったそうです。











 趙チーム長は谷城郡が自然農業に取り組む必要性について以下のように話してくれました。



1 地域の資材が農業で活用されること。 2 低費用高効率で農家の自立能力を養うこと。 3 政府依存から脱却すること。 4 病害虫のない高品質で安全な農産物を生産すること。


 これらを達成するために技術センターとして、 自然農業の基本講習会、専門講習会を支援、資材製造を共同で行っているとのことです。


 最近では学術的な研究が進んでおり、韓国の有名な化粧品会社アモレが谷城郡のリンゴやナシの成分について詳しく調べているそうです。残念ながらその資料を手にすることが出来ません。この写真はナシの保存期間が長いことを説明しているものです。上の写真は韓国のSBSテレビで紹介された日本の「奇跡のリンゴ」。保存期間が長いと比べていますが、自然農業でも同じような現象が起こっているというわけです。左側が慣行農法のナシで、右側が自然農業のナシです。左の写真から順に2010年2月8日、3月3日、3月25日、4月7日です。慣行農法のナシは真っ黒になって腐っていていますが、自然農業のナシは少しずつ形が悪くなっていっているだけで、その差は歴然としています。これが自然農業の特徴でしょう。生命力の強さ。すばらしいですね。


 この後、見学者も資材作りの実習をしました。これは観賞用のリンゴ(ヒメリンゴ)を刻んだり、つぶしたりして黒砂糖をまぶして果実酵素をつくっているところです。








  外では水溶性カルシウムを作るためにカキガラを焼いていました。




 カキガラはそのままでは溶けにくいので焼きます。バーベキューのような要領です。表面が白くなるまで約2時間くらい焼くそうです。




 これをカメかビンに入れて玄米酢を入れます。この時注意するのは、カメの口までいっぱいいっぱいに玄米酢を入れないこと。反応して噴き出してしまいます。





 ドイツからの見学者を歓迎する横断幕まで準備されていました。ドイツ語で書かれた歓迎の言葉に一同感激です。








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