2010年12月12日日曜日

韓国自然農業農場見学 5

 味や質、収量もあげる自然農業

  谷城郡内の実践ほ場も色々見せていただきました。最初はメロンハウスです。奥さんのパク・キナムさんが説明してくれました。ここでは、収穫後にイネを育て土つくりをします。すると、病気になりにくくなったし、味が良くなったといいます。また、今年は日本で使用されていると聞いて「クロタラリア」を植えて、イネと比較しているそうです。
 クロタラリアは豆科の一年草で、サツマイモなど根菜類のネコブセンチュウ対策に効果があるそうですが、キュウリ、メロン、トマトなどの果野類にも効果があり、日本の有機栽培農家で最近注目されているコンパニオンプランツです。
 
 パクさんが「日本ではメロンは小さいものが好まれますが、韓国では大きいものがいいのです」と言います。メロンは8キロの箱に入れますが、それに4個入ったものが320箱、3個入りが830箱、2個入りが130箱収穫したそうです。
 休憩用のハウスで、さっそく試食させてもらいました。 実物を見て、その大きさにびっくりです。3個入りのものをいただきましたが、大きい、大きい! 確かに、こんなに大きいと日本では買いにくいかもしれません。でも切ってもらっていただくと、甘くでおいしい! しかもエグみがなくて、さっぱりしているのです。
 もちろん8月でしたから暑くてのども渇いていました。そこへジューシーなメロンをいただいたので、おいしく感じたということはあると思います。でもすごくおいしいのです。。
 ハウスの奥さんがつぎつぎ切ってくれるメロンを次々食べて、食べて、もっとほしい! という感じです。
 こんなおいしいメロンは初めてです。
 自然農業に取り組んで3年目ほどだそうですが、病気がなくなったのが助かると奥さんは喜んで話します。
農薬はウドンコ病対策で、石灰硫黄合剤を使用します。散布のとき小麦粉を混ぜて散布するそうです。
 ともかく、土壌基盤造成が大事とのことです。イネやクロタラりアを刈る前に、土着微生物4番と基盤造成液を散布しておき、刈ってロータリーをかけた後定植します。
 これで、一年に3回作っても大丈夫との事です。





韓国自然農業農場見学 4

 谷城郡農業技術センターを中心に普及


 昨年、一昨年と訪れた慶尚北道固城郡の郡をあげての自然農業の取り組みについては、何度も紹介したが、その固城郡に刺激を受けて、郡をあげて取り組んでいるのが全羅南道谷城郡です。谷城郡は人口が3万4千で、耕地面積が5300ヘクタールあります。

 今回も最後に訪ねましたが、何といっても農業技術センターが熱心に取り組んでいるのが印象的です。







 農業技術センターの中に自然農業式ハウスが何棟か設置してあります。ここで、自然農業の各種資材作りの実習が行われ、出来上がった天恵緑汁や漢方栄養剤などの保管管理も行っています。










 郡には環境農業課という部署があり、そこの自然農業室のチーム長であるチョウ・ギョンフンさんが説明してくれました。


 写真の手に持っているのは、水溶性リン酸カルシウムの原料の豚の骨です。これを焼いて炭のように黒くなったものをを玄米酢につけます。





 谷城郡で取り組んでいる自然農業は、2009年には稲作23ha(30農家)、畜産(牛4頭、母豚10頭、鶏1,500羽)、果樹1ha(リンゴ)、野菜(メロン0.4ha、サンチュ0.4ha)でしたが、2010年には稲作67ha(30農家)、果樹(リンゴ1ha、ブドウ1ha、梅1ha)、野菜(メロン1ha、ニラ0.4ha、イチゴ0.4ha、唐辛子2,200株)、複合畜産(牛、豚、鶏、サンチュ)とさらに取り組みが増えています。





 多くの農家が自然農業に取り組む場合、天恵緑汁なども何10トンも入るような大きなタンクで仕込みがちだが、ここでは、20ℓのカメにそれぞれ仕込んでいる。発酵にとってカメが一番いいからだ。ハウスの中は作った人の名前が書かれたカメがずらーっと並んでいます。







 このハウスはもと、水耕栽培のハウスだったそうで、床下に養液の大きなタンクがあります。そこには自然農業では大切な海水が4トン余り、保管されていました。また、苗を置く台にカメを並べていましたが、土と離さないのが原則という事で、その台に土が敷かれ、その上にカメが載せられていました。




保管は保冷庫で行われていました。温度は10~12度に設定されています。


 現在当帰が何㍑、桂皮が何㍑、天恵緑汁が何㍑と、すべて記録されており、ここから農家が必要な量だけ受け取って帰ります。








 土着微生物の培養も常に行っています。ここには見学者も多いので、土着微生物2番、3番、展示してあるのです。

 農家は3番をもらって帰り、自宅で土を混ぜて発酵させ4番を作り、使用します。

2010年12月10日金曜日

韓国自然農業農場見学 3

 楽園のような農場

  次に訪問したのは、同じく潭陽のラ・サンチェさんの甘柿農場です。山の中腹に、しゃれた洋風の家がありました。ご本人は出かけて留守だったので、一緒に農業をやっている息子さんが説明してくださいました。とはいえ、その流暢な語り口は、今までに何度も見学者を受け入れて、説明をしてきたに違いないと推察させるものでした。






 「父は、違う世界を見てみたいとソウルへ働きにでましたが、ここは自分がいる場所ではないと気づき、もどって農業に専心することになりました。そして、自分の理想の村づくりをするために自然農業に取り組みはじめたのです」




 父の話をする彼の口調から、父への尊敬と一緒にこの自然農業をやっている喜び、生きている手ごたえを感じていることなどが感じられました。








   そして、すぐそばの農場を見たとき、見学者一同、言葉を失ってしまう程、魅せられてしまいました。写真をご覧ください。山の頂に向けて広がる柿園。下には一面の芝生が敷き詰められています。こんな農場は見たことがありません。まるで公園のようです。






 なんだかここにいるだけで、幸せな気分になってきます。お父さんがこの農園をどれだけ愛しているか、又、どんな村づくりを目指しているか、ただここに立っただけで、伝わってくるようです。






 見学者の中の吉田さんが「自然農業に取り組んで十年たつけど、これから目指す方向がはっきり分かったような気がする!」と、興奮して話します。柿園の中は草生栽培です。
 ここに立ってもなんだかとても気持ちいいのです。ラ・サンチェさんは生協などに出荷しているそうですが、消費者の見学も多く受け入れています。中には農園が気持ちいいので、ずっといる人もいるそうです。 
見学者の澤村さんが、一緒にきた息子さんと、ぜひ一緒に写真を撮ってくれと言います。ここには家族仲良く、みんなと仲良く、作物や微生物とも。自他一体の原理が体現されているからではないでしょうか。
写真の看板は、左が韓国の有機農産物認証のマークで、右が自然農業の認証マークです。農園の入り口に立っていました。

韓国自然農業現場見学2

イチゴハウスに稲で土つくり





 次に訪ねたのは、全羅南道潭陽のイチゴ農家パク・サンオさんのハウスです。長さが95メートルのハウスの中は一面にイネが植えられていました。パクさんはイチゴの収穫の後、イネを植えて土作りをしています。初めて7年目になるそうですが、イチゴの収穫期間が、一般的には4ヶ月ぐらいなのに比べ6ヶ月に伸びたそうです。品種によっては7,8ヶ月あるものもあるというのですから驚きです。






 イネは刈ったあと乾燥して保管し、イチゴを定植した後は通路に敷き藁として使用します。こうすることによってイチゴの根を傷めない働きをしますが、ワラから出る二酸化炭素がハウス内の濃度を調節してくれるのです。敷き藁をしたところと、していないハウスでCO2濃度を測って比較したところ、大きな差があったそうです。ワラは踏まれて分解してしまうので、収穫期間中はもう一度敷くそうです。
おいしいイチゴを朝採りで
 ここ潭陽では100軒近くのイチゴ農家がグループを作って自然農業に取り組んでいます。
 イチゴをもっともおいしい時に収穫するため、朝2時に起きて暗い中作業し、陽が上る前には出荷が終わるようにしているそうです。朝採りの新鮮なイチゴがお店に並ぶわけです。
 味の良さが消費者に評判で、注文に応じきれない程。グループの中では、日本円で年収2千万円もあげている人がいるそうです。

2010年11月13日土曜日

韓国自然農業の現場を見学 1


 専門講習会で講習を受けた後、自然農業に取り組む現場を見学しました。徹底的に取り組む農家の方たちの喜びの笑顔が印象的でした。
この方はヨン・グァンヒさんと言って、ハウストマトや路地野菜で実践しています。
この唐辛子は、すべて自然農業の資材だけで育てたもので、他の資材はいっさい使用していないそうです。
それまでの慣行栽培と比べ、収量、質ともアップ、収入は倍以上になったそうです。
 これは「農業薬水」のタンクです。一つが2トン入りますから、4トンの水を供給できるわけです。
 「農業薬水」は様々な岩石を集めてタンクに設置し、高い所から水をかけて、岩石のミネラル分を溶かします。また、ストッキングなどに土着微生物4番を入れて、中で発酵させ、薄い液肥のようなものを作ります。
 マコモで殺菌効果
 ヨン・グァンヒさんは、ハウスや唐辛子畑にマコモを敷くことで、殺菌効果があったと言います。
 マコモは石川県の池内玲子さんが、栽培したものを、以前訪問したとき株をわけたものです。マコモは食べてもおいしいものですが、茎の活用もおもしろいものですね。

2010年11月1日月曜日

果樹・一般作物専門講習会が開催されました



 8月2日から7日まで、韓国で自然農業果樹・一般作物専門講習会が開催されました。自然農業では、まず5泊6日の基本講習会を受講して基礎的な考え方や技術を学びます。次に果樹、稲・一般作物、養鶏、養豚などの分野別の専門講習会が3泊4日であります。

 日本でもその様に開催されていましたが、参加者が少なく、開催できていませんでした。理由を尋ねると、参加費の問題もあるが、忙しくてとても長い期間家を空けられない、というのが多くの方の意見でした。

 また、講師である韓国の趙漢珪先生のお年や健康を事を考えると、今後日本での学習の機会は限られてくることが予想されます。

 そこで、今後のことを考えて、講習会のビデオ資料を製作することにしました。そうすれば、参加者の数に関係なく、地域の小さな集まりでも開催することができるし、都合によっては2回に分けて開催することも可能だからです。               (この写真は谷城郡農業技術センターで自然農業の提案する未利用資源の活用の枠の前の趙漢珪先生です)

2010年6月21日月曜日

中島ゆうきの島づくり人材養成塾に行ってきました



  去る6月13日、愛媛県松山市の中島へ行ってきました。中島では泉精一さんが塾長となって、「中島ゆうきの島づくり人材養成塾」として今年4月から来年の2月まで、毎月有機農業の勉強会が開かれています。これは愛媛県の平成22年度離島人材育成基金助成事業です。  これまでに、土作りと生姜植付(4月)、栄養週期、サツマイモ、豆植付(5月)の勉強会が行われ、今回は天恵緑汁など自然農業の資材作りがテーマで、姫野が講師として出かけて行きました。











 小雨の降る天気にも関わらず、会場の中島文化センターには30人あまりの人たちが集まっていました。島外からの参加者も多く、関心の高さを感じました。司会は若手のホープ岡田義之さん。まずは塾長の泉さんの挨拶から始まり、私が紹介されました。新刊の「はじめよう!自然農業」は、教科書としてほとんどの人が買ってくださっているという事で、感激です。自然農業についての簡単な紹介の後、さっそく資材作りに入りました。

 まずは漢方栄養剤の下準備です。漢方薬の当帰、甘草、桂皮にそれぞれビール(発泡酒でしたが)を注いでふやかします。次に、ニンニクと生姜の皮をみんなでむいて、それぞれ同量の黒砂糖をまぶしました。漢方薬の方もふやけたら黒砂糖を入れました。これで3~5日で発酵したら焼酎を注ぎます。この日は黒砂糖の段階まで行いました。






























 午前中は、これで終わり、午後からは一階の駐車場で作業を行いました。天恵緑汁はセリとタケノコが準備されていました。セリは手で半分くらいにちぎり、同量の黒砂糖をまぶして、カメにぎっしり詰めました。重しをすると少し下がるので、カメの大きさに対して材料が少なかったようです。



 タケノコは皮のまま、切って砂糖をまぶし、カメに入れました。こちらは量がたっぷりあったので、カメの大きさに対して丁度良い量でした。どちらも和紙でふたをしてひもで結びました。和紙には材料と日付が書かれました。




 次は水溶性カルシウムです。泉さんが飼育する有精卵の殻を袋の中で砕いて、フライパンで焼いて行きます。火は弱火にして、真っ黒にならないように注意します。灰色から薄茶色になったら、火を止めて、これをビンに入れ、玄米酢を注ぎます。すると反応して、殻が上へあがったり、下がったりし始めます。この反応がなくなったら飽和状態になったということで出来上がりです。1000倍にして、カルシウムを効かせたいときに使用します。これは吸収が良いのです。

 次は水溶性リン酸カルシウムですが、普通は豚や牛の骨を焼いて砕きますが、この日は、もっとも手に入りやすいという事で鶏の骨を使用しました。鶏の骨は天日にさらしてあったので、油や肉がついておらず、真っ白でした。それらを取る目的で焼きますが、ないので、そのまま砕きました。それを同じく玄米酢につけました。こちらは、反応はゆっくりなので、目には見えません。

 乳酸菌血清作りもしました。米の最初のとぎ汁を置いて3日目のものが準備されていました。ビンに牛乳を入れてそれにとぎ汁を注ぎます。しばらく置くと、たんぱく質と脂肪が分離して浮いてくるのですが、この日は混合しただけで終わりました。分離したら、下の液をとって保存します。




 最後は土着微生物の元だね作りです。杉の箱にご飯を入れて、仕込んで4日目。採取してきた土着微生物です。これが1番です。これを同量の黒砂糖に浸けます。これが土着微生物2番です。これを水で薄めて米ぬかと混合し、発酵させたものが土着微生物3番、これがいわゆる元だねです。しかし、自然農業ではこのままでは使用しません。この3番に同量の土を混ぜて発酵させたものを使用します。これが4番です。土は山の赤土と畑の土を半々にして混合します。


 この4番に炭や油粕などを混ぜてつくるのが土着微生物5番です。これがいわゆるボカシ肥料です。
この日は3番の仕込みをやりましたが、箱の中で行ったせいもあり、水分調整が難しかったです。




 最後に研修室でもう一度まとめの話をして、質疑応答です。納豆菌や光合成細菌などの培養はしないか?など、かなり突っ込んだ質問もあり、熱心さが伺われました。

 この日は愛媛大学の鶴見先生がいらっしゃっていました。鶴見先生が以前千葉県の農業高校にいたときにお世話になったことがあり、また、岩手での趙先生の講演会にも参加されていたそうです。愛媛大学ではおもしろい試みがなされていました。愛媛で就農予定の学生ならば、AO試験(自己推薦で、面接やレポート提出で審査)で入学できるというもの。ちょうど、泉さんの家に研修に入っていた学生が、そうやって入学している学生で、将来は親の後を継いで農業をやる予定との事。勉強の意欲を持っている若い人には大いに勉強してほしいですね。楽しみですね。