2010年4月22日木曜日

水俣の吉田浩司さんの畑を見学しました

 4月19日水俣の吉田浩司さんの畑を見学しました。農業を始めて10年が過ぎ、現在は二町八反の畑に、不知火、河内晩柑、グレープフルーツを中心に、13~14種類の柑橘を栽培しています。
 労働力が一人なので結構大変そうです。







 自然農業を始めたきっかけは、同じ水俣に住む新田九州男さんとの出会いから。「ともかく自然農業の基本講習会を受けなさい」と言われ、夫婦で基本講習会を受講しました。そのとき、奥さんのお腹の中には赤ちゃんがいました。その子も現在は8才、続いて二人が生まれ、現在は3人の子どものパパになりました。









園も思い切って、それまであった木を切って、品種の切り替えを行ったり、段々をけずって、広くしたり、機械が通れるようにしたり、様々な基盤造成を行ってきました。写真はグレープフルーツ若木です。





 奥さんのお父さんの死をきっかけに入った農業。これまでの十年間は、ともかく無我夢中で自分の畑やみかんの木と取り組んできたけど、これからはもう少し外とのつながりも作って行きたい、と言います。



河内晩柑がいっぱい実っていました!




味はもちろん、おいしい! 甘くて、深い味がします。グレープフルーツはすっぱいけど糖度計で計ってみると15度もありました。輸入ものとは比較にもなりません。国産のグレープフルーツはめずらしいですね。しかも自然農業で無農薬。消費者にも喜ばれているそうです。
 左の写真をご覧ください。実がしっかりつまってるでしょう。それでも果汁たっぷりでジューシー。砂糖なしでも食べられますよ。






これは剪定枝などをチップにする機械です。竹のチップもできるそうです。これで簡単に堆肥の材料になります。

この機械のお陰で、草は返し、枝も返し、持ち出すのは収穫した実だけになった、との事。




 

2010年4月20日火曜日

水俣のお茶農家を訪問しました

 くまもと有機農業推進ネットワークの行事に参加した翌日、参加者の吉野さんのお茶園を訪ねました。



 吉野さんのお茶畑は、水俣の湯の鶴温泉をさらに、山の方へ上っていった先にあります。途中にはきれいな棚田がありました。ぐるぐる山道を登って急に開けたところがお茶畑です。







 最近の異常気象の影響で、葉っぱの先が茶色く変色していました。これでは一番茶は絶望的だそうです。これを刈り込んでも二番茶の出来にも影響を及ぼすとの事。



 最近の消費者のお茶ばなれで、消費が伸び悩んでいるところ、この事態でダブルパンチです。いくら有機栽培で産直をしていても、経営はなかなか大変とのことです。
 これでまた、お茶をやめる農家が出るだろうとの事でした。

 製茶工場も見学しました。8人の農家で共同使用しているそうで、とても大きな施設でした。吉野さんは有機JAS認証をとっているので、ラインで混ざらないように、朝一番に機械にかけているそうです。
慣行農法では、化学肥料の多投もそうですが、農薬の回数も7,8回、多い人は十回以上も散布するそうです。除草剤も使用します。どこの農家でも事情は同じかもしれませんが、やはり人手不足が大きな原因でしょう。なるべく手をかけないで、見た目のいいものを生産して、単価のいいものに仕上げるためにはしかたのないことなのかもしれません。
 しかし、消費者の立場、環境を守る立場からすればとんでもない話です。


消費者の健康、環境を守るために頑張っている農家を応援したいと思います。

くまもと有機農業推進ネットワークの集会に参加してきました

 2010年4月18日、水俣市湯の鶴温泉「喜久屋」で、くまもと有機農業推進ネットワーク水俣・芦北交流会が開かれ、参加しました。くまもと有機農業推進ネットワークは、国の有機農業推進法を受けて、熊本県内の有機農業者のネットワークを作ろうという事で設立されました。現在各地域で交流会がひらかれているそうで、今回は水俣と芦北地区の交流会でした。参加者は50名以上集まり、今までで一番集まった、と主催者の方が言っていました。
 一部は東海大学の片野学先生の講演です。農薬の問題も深刻だが、硝酸性チッ素の問題も大きいと、各地の残留値を紹介しました。化学肥料のやりすぎだけでなく、牛をはじめとする家畜の厩堆肥の問題もある。お茶などは農協では反当50~60キロも施肥するよう指導しているそうです。それらが土の中にも残留して健康にも害を及ぼしている。日本で一番糖尿病の多いのが熊本県、ついで鹿児島県、宮崎県だそうです。


 この写真の本は片野先生が講演したものをまとめた小冊子です。めばえ社(1,050円) 資料も豊富に入れて編集してあり、読み応えのあるものになっています。





















 この交流会には水俣市長の参加されていました。


 普通、このような行事に市長本人が参加されるのはめずらしい事です。多いのは代理人があいさつ文を読み上げるというパターンです。


ところが水俣市長は、挨拶だけでなく、最後まで話を聞いていかれました。産業廃棄物施設反対で市民の支持を得て当選した市長です。

 これからは環境を考えた農業に、積極的に関わってほしいですね。

 二部は、水俣・芦北で活躍する有農業者の報告です。最初は田ノ浦の鶴田志郎さんです。

柑橘類の栽培を中心に行いながら、株式会社マルタという組織をたちあげ、現在、生産者は1200名うち97名が有機JASの認証を受けているそうです。お父さんは甘夏を作ったことで有名な鶴田源志さんで、自然農業の第一回の基本講習会の参加者でした。


 次は水俣で柑橘を栽培している吉田浩司さん。自然農業の若手ホープの一人です。11年前新田九州男さんとの出会いから自然農業に取り組み始め、現在は不知火、河内晩柑、グレープフルーツを中心に様々な柑橘を栽培し、年間を通して収入をあげる経営をしています。学んだことは①あせらない②油断しない③変化をおそれず。基盤造成だったこの十年、これからは外とのつながりも求めて行きたいと語った。

 三番目は反農連の大沢さん。最近は栃木県のアジア学院から、アジア・アフリカの有機農業指導者になるために研修生を受け入れるなど、国際交流も行っているそうだ。






 四番目は水俣不知火ネットワークの谷洋一さん。長年水俣病問題に取り組み、患者さんたちの農業を支えてきた。公害の水俣だからこそ、環境を考える農業をということで、30年以上前から無農薬栽培に取り組む。販売はポラン広場やビオマーケットなどに行っている。都会とのネットワークの広さはすごいものがあります。


 五番目は水俣でお茶を栽培する吉野啓子さん。栽培担当はご主人で、販売などその他の部分でサポートしてきた。水俣のお茶を通して、環境を守ることの大切さを訴えてきた。あるデパートの試飲販売を行っていたとき、水俣と聞いて、ひいてしまったお客さんがいた。そのとき初めて水俣に住んでいる人たちが受けてきた差別に気づかされた。最近は若い人が水俣病のことすら知らないという問題も出てきた。お茶の販売は伸び悩んでいるが、これからは海外に打って出たいと元気いっぱいの挨拶でした。

 最後は水俣で柑橘を栽培する新田九州男さん。自然農業に取り組むまで、様々な微生物資材をやってみたが、土着微生物が一番いい。お金をかければ儲からず、お金をかけなければもうかる、という名言が出ました。

 楽しそうに農業を語る姿が印象的でした。
写真は新田さんのうんしゅうみかんで作ったジュースです。
 甘くて適度に酸味もあり、深い味がします。