2010年12月14日火曜日

韓国自然農業農場見学 6



 初年でも大きな成果 ブドウ


 次はユ・ジャンスさんの田んぼです。自分のほ場12ヘクタール全部を自然農業でやっています。苗はポットです。今年は1穴に2~3粒播種したが、昨年1穴に1~2粒の方が良かったように思う、と言います。去年はきれいに扇型に分げつしたそうです。今年は少し立っているので、陽が差し込まず、病気が出るおそれがあるとのこと。1坪あたりの植付株数は45株なので、かなり粗植ではある。




 雨が降り出したので、急いで次の所へ向かった。


次はチョー・スンブンさんという女性が一人でやっているブドウ畑です。品種はキャンベルです。
 話を伺おうとしたら、ともかくチョーさんが興奮して、次々話すので、通訳するのに大変なくらいでした。ともかく、今年初めて自然農業に取り組んだけど、大きな差が出たという事で、もう、うれしくてたまらないという事らしい。



 「こちらは土着微生物をまいた所、こちらはまいてない所、比べたら全然違うのがわかるでしょう」と言います。まず、土が全然違います。手を入れると、ふかふかですぐ入って行きます。土着微生物を入れてない方の畑は草が生えている所でも、かたくて手は入りません。天恵緑汁や漢方栄養剤は散布しているそうです。

 「実の粒が多いし、木に勢いがある。収量もすごく増えました。これまでこんなに収量があったことはありません」といい事ずくめです。さらに「今までは悪い所を取らなければならなかったけど、悪い粒がないから、そのままです。手がかからなくて楽です。私は3000坪を一人でやってるから、楽なのがうれしい」と言います。


 一次交代期に処理をしたので、房が伸びて摘粒をする必要がなくなったという事です。




 収量は2倍以上に 唐辛子




 最後はシン・チェスさんの唐辛子の畑です。畝間は2メートルとゆったりしている。支柱を立ててY字型に誘引していく栽培です。株間は1メートルでという指導でしたが、70センチにしたそうです。

 「自然農業でやると、今までのよりも収量が2倍以上に増えました。150キログラム多く収穫したのです」と言います。また質も上がったといいます。長さが長くなって、皮が厚くなりました。


 「乾かすのに時間がかかるけどね」と笑います。皮つやがあるので、ビニール袋に入れて販売するのに見栄えがいい言います。




 韓国の人にとって唐辛子はなくてはならない食べ物です。従って農家にとって、お米の次に大事な作物です。ところが、IMF以降、種が高騰して大変だそうです。F1なので、自家採取することができない。以前4000ウォンだったのが、現在4万ウォンに、つまり十倍になっているのです。農家にとっては大変な問題です。

2010年12月12日日曜日

韓国自然農業農場見学 5

 味や質、収量もあげる自然農業

  谷城郡内の実践ほ場も色々見せていただきました。最初はメロンハウスです。奥さんのパク・キナムさんが説明してくれました。ここでは、収穫後にイネを育て土つくりをします。すると、病気になりにくくなったし、味が良くなったといいます。また、今年は日本で使用されていると聞いて「クロタラリア」を植えて、イネと比較しているそうです。
 クロタラリアは豆科の一年草で、サツマイモなど根菜類のネコブセンチュウ対策に効果があるそうですが、キュウリ、メロン、トマトなどの果野類にも効果があり、日本の有機栽培農家で最近注目されているコンパニオンプランツです。
 
 パクさんが「日本ではメロンは小さいものが好まれますが、韓国では大きいものがいいのです」と言います。メロンは8キロの箱に入れますが、それに4個入ったものが320箱、3個入りが830箱、2個入りが130箱収穫したそうです。
 休憩用のハウスで、さっそく試食させてもらいました。 実物を見て、その大きさにびっくりです。3個入りのものをいただきましたが、大きい、大きい! 確かに、こんなに大きいと日本では買いにくいかもしれません。でも切ってもらっていただくと、甘くでおいしい! しかもエグみがなくて、さっぱりしているのです。
 もちろん8月でしたから暑くてのども渇いていました。そこへジューシーなメロンをいただいたので、おいしく感じたということはあると思います。でもすごくおいしいのです。。
 ハウスの奥さんがつぎつぎ切ってくれるメロンを次々食べて、食べて、もっとほしい! という感じです。
 こんなおいしいメロンは初めてです。
 自然農業に取り組んで3年目ほどだそうですが、病気がなくなったのが助かると奥さんは喜んで話します。
農薬はウドンコ病対策で、石灰硫黄合剤を使用します。散布のとき小麦粉を混ぜて散布するそうです。
 ともかく、土壌基盤造成が大事とのことです。イネやクロタラりアを刈る前に、土着微生物4番と基盤造成液を散布しておき、刈ってロータリーをかけた後定植します。
 これで、一年に3回作っても大丈夫との事です。





韓国自然農業農場見学 4

 谷城郡農業技術センターを中心に普及


 昨年、一昨年と訪れた慶尚北道固城郡の郡をあげての自然農業の取り組みについては、何度も紹介したが、その固城郡に刺激を受けて、郡をあげて取り組んでいるのが全羅南道谷城郡です。谷城郡は人口が3万4千で、耕地面積が5300ヘクタールあります。

 今回も最後に訪ねましたが、何といっても農業技術センターが熱心に取り組んでいるのが印象的です。







 農業技術センターの中に自然農業式ハウスが何棟か設置してあります。ここで、自然農業の各種資材作りの実習が行われ、出来上がった天恵緑汁や漢方栄養剤などの保管管理も行っています。










 郡には環境農業課という部署があり、そこの自然農業室のチーム長であるチョウ・ギョンフンさんが説明してくれました。


 写真の手に持っているのは、水溶性リン酸カルシウムの原料の豚の骨です。これを焼いて炭のように黒くなったものをを玄米酢につけます。





 谷城郡で取り組んでいる自然農業は、2009年には稲作23ha(30農家)、畜産(牛4頭、母豚10頭、鶏1,500羽)、果樹1ha(リンゴ)、野菜(メロン0.4ha、サンチュ0.4ha)でしたが、2010年には稲作67ha(30農家)、果樹(リンゴ1ha、ブドウ1ha、梅1ha)、野菜(メロン1ha、ニラ0.4ha、イチゴ0.4ha、唐辛子2,200株)、複合畜産(牛、豚、鶏、サンチュ)とさらに取り組みが増えています。





 多くの農家が自然農業に取り組む場合、天恵緑汁なども何10トンも入るような大きなタンクで仕込みがちだが、ここでは、20ℓのカメにそれぞれ仕込んでいる。発酵にとってカメが一番いいからだ。ハウスの中は作った人の名前が書かれたカメがずらーっと並んでいます。







 このハウスはもと、水耕栽培のハウスだったそうで、床下に養液の大きなタンクがあります。そこには自然農業では大切な海水が4トン余り、保管されていました。また、苗を置く台にカメを並べていましたが、土と離さないのが原則という事で、その台に土が敷かれ、その上にカメが載せられていました。




保管は保冷庫で行われていました。温度は10~12度に設定されています。


 現在当帰が何㍑、桂皮が何㍑、天恵緑汁が何㍑と、すべて記録されており、ここから農家が必要な量だけ受け取って帰ります。








 土着微生物の培養も常に行っています。ここには見学者も多いので、土着微生物2番、3番、展示してあるのです。

 農家は3番をもらって帰り、自宅で土を混ぜて発酵させ4番を作り、使用します。

2010年12月10日金曜日

韓国自然農業農場見学 3

 楽園のような農場

  次に訪問したのは、同じく潭陽のラ・サンチェさんの甘柿農場です。山の中腹に、しゃれた洋風の家がありました。ご本人は出かけて留守だったので、一緒に農業をやっている息子さんが説明してくださいました。とはいえ、その流暢な語り口は、今までに何度も見学者を受け入れて、説明をしてきたに違いないと推察させるものでした。






 「父は、違う世界を見てみたいとソウルへ働きにでましたが、ここは自分がいる場所ではないと気づき、もどって農業に専心することになりました。そして、自分の理想の村づくりをするために自然農業に取り組みはじめたのです」




 父の話をする彼の口調から、父への尊敬と一緒にこの自然農業をやっている喜び、生きている手ごたえを感じていることなどが感じられました。








   そして、すぐそばの農場を見たとき、見学者一同、言葉を失ってしまう程、魅せられてしまいました。写真をご覧ください。山の頂に向けて広がる柿園。下には一面の芝生が敷き詰められています。こんな農場は見たことがありません。まるで公園のようです。






 なんだかここにいるだけで、幸せな気分になってきます。お父さんがこの農園をどれだけ愛しているか、又、どんな村づくりを目指しているか、ただここに立っただけで、伝わってくるようです。






 見学者の中の吉田さんが「自然農業に取り組んで十年たつけど、これから目指す方向がはっきり分かったような気がする!」と、興奮して話します。柿園の中は草生栽培です。
 ここに立ってもなんだかとても気持ちいいのです。ラ・サンチェさんは生協などに出荷しているそうですが、消費者の見学も多く受け入れています。中には農園が気持ちいいので、ずっといる人もいるそうです。 
見学者の澤村さんが、一緒にきた息子さんと、ぜひ一緒に写真を撮ってくれと言います。ここには家族仲良く、みんなと仲良く、作物や微生物とも。自他一体の原理が体現されているからではないでしょうか。
写真の看板は、左が韓国の有機農産物認証のマークで、右が自然農業の認証マークです。農園の入り口に立っていました。

韓国自然農業現場見学2

イチゴハウスに稲で土つくり





 次に訪ねたのは、全羅南道潭陽のイチゴ農家パク・サンオさんのハウスです。長さが95メートルのハウスの中は一面にイネが植えられていました。パクさんはイチゴの収穫の後、イネを植えて土作りをしています。初めて7年目になるそうですが、イチゴの収穫期間が、一般的には4ヶ月ぐらいなのに比べ6ヶ月に伸びたそうです。品種によっては7,8ヶ月あるものもあるというのですから驚きです。






 イネは刈ったあと乾燥して保管し、イチゴを定植した後は通路に敷き藁として使用します。こうすることによってイチゴの根を傷めない働きをしますが、ワラから出る二酸化炭素がハウス内の濃度を調節してくれるのです。敷き藁をしたところと、していないハウスでCO2濃度を測って比較したところ、大きな差があったそうです。ワラは踏まれて分解してしまうので、収穫期間中はもう一度敷くそうです。
おいしいイチゴを朝採りで
 ここ潭陽では100軒近くのイチゴ農家がグループを作って自然農業に取り組んでいます。
 イチゴをもっともおいしい時に収穫するため、朝2時に起きて暗い中作業し、陽が上る前には出荷が終わるようにしているそうです。朝採りの新鮮なイチゴがお店に並ぶわけです。
 味の良さが消費者に評判で、注文に応じきれない程。グループの中では、日本円で年収2千万円もあげている人がいるそうです。

2010年11月13日土曜日

韓国自然農業の現場を見学 1


 専門講習会で講習を受けた後、自然農業に取り組む現場を見学しました。徹底的に取り組む農家の方たちの喜びの笑顔が印象的でした。
この方はヨン・グァンヒさんと言って、ハウストマトや路地野菜で実践しています。
この唐辛子は、すべて自然農業の資材だけで育てたもので、他の資材はいっさい使用していないそうです。
それまでの慣行栽培と比べ、収量、質ともアップ、収入は倍以上になったそうです。
 これは「農業薬水」のタンクです。一つが2トン入りますから、4トンの水を供給できるわけです。
 「農業薬水」は様々な岩石を集めてタンクに設置し、高い所から水をかけて、岩石のミネラル分を溶かします。また、ストッキングなどに土着微生物4番を入れて、中で発酵させ、薄い液肥のようなものを作ります。
 マコモで殺菌効果
 ヨン・グァンヒさんは、ハウスや唐辛子畑にマコモを敷くことで、殺菌効果があったと言います。
 マコモは石川県の池内玲子さんが、栽培したものを、以前訪問したとき株をわけたものです。マコモは食べてもおいしいものですが、茎の活用もおもしろいものですね。

2010年11月1日月曜日

果樹・一般作物専門講習会が開催されました



 8月2日から7日まで、韓国で自然農業果樹・一般作物専門講習会が開催されました。自然農業では、まず5泊6日の基本講習会を受講して基礎的な考え方や技術を学びます。次に果樹、稲・一般作物、養鶏、養豚などの分野別の専門講習会が3泊4日であります。

 日本でもその様に開催されていましたが、参加者が少なく、開催できていませんでした。理由を尋ねると、参加費の問題もあるが、忙しくてとても長い期間家を空けられない、というのが多くの方の意見でした。

 また、講師である韓国の趙漢珪先生のお年や健康を事を考えると、今後日本での学習の機会は限られてくることが予想されます。

 そこで、今後のことを考えて、講習会のビデオ資料を製作することにしました。そうすれば、参加者の数に関係なく、地域の小さな集まりでも開催することができるし、都合によっては2回に分けて開催することも可能だからです。               (この写真は谷城郡農業技術センターで自然農業の提案する未利用資源の活用の枠の前の趙漢珪先生です)

2010年6月21日月曜日

中島ゆうきの島づくり人材養成塾に行ってきました



  去る6月13日、愛媛県松山市の中島へ行ってきました。中島では泉精一さんが塾長となって、「中島ゆうきの島づくり人材養成塾」として今年4月から来年の2月まで、毎月有機農業の勉強会が開かれています。これは愛媛県の平成22年度離島人材育成基金助成事業です。  これまでに、土作りと生姜植付(4月)、栄養週期、サツマイモ、豆植付(5月)の勉強会が行われ、今回は天恵緑汁など自然農業の資材作りがテーマで、姫野が講師として出かけて行きました。











 小雨の降る天気にも関わらず、会場の中島文化センターには30人あまりの人たちが集まっていました。島外からの参加者も多く、関心の高さを感じました。司会は若手のホープ岡田義之さん。まずは塾長の泉さんの挨拶から始まり、私が紹介されました。新刊の「はじめよう!自然農業」は、教科書としてほとんどの人が買ってくださっているという事で、感激です。自然農業についての簡単な紹介の後、さっそく資材作りに入りました。

 まずは漢方栄養剤の下準備です。漢方薬の当帰、甘草、桂皮にそれぞれビール(発泡酒でしたが)を注いでふやかします。次に、ニンニクと生姜の皮をみんなでむいて、それぞれ同量の黒砂糖をまぶしました。漢方薬の方もふやけたら黒砂糖を入れました。これで3~5日で発酵したら焼酎を注ぎます。この日は黒砂糖の段階まで行いました。






























 午前中は、これで終わり、午後からは一階の駐車場で作業を行いました。天恵緑汁はセリとタケノコが準備されていました。セリは手で半分くらいにちぎり、同量の黒砂糖をまぶして、カメにぎっしり詰めました。重しをすると少し下がるので、カメの大きさに対して材料が少なかったようです。



 タケノコは皮のまま、切って砂糖をまぶし、カメに入れました。こちらは量がたっぷりあったので、カメの大きさに対して丁度良い量でした。どちらも和紙でふたをしてひもで結びました。和紙には材料と日付が書かれました。




 次は水溶性カルシウムです。泉さんが飼育する有精卵の殻を袋の中で砕いて、フライパンで焼いて行きます。火は弱火にして、真っ黒にならないように注意します。灰色から薄茶色になったら、火を止めて、これをビンに入れ、玄米酢を注ぎます。すると反応して、殻が上へあがったり、下がったりし始めます。この反応がなくなったら飽和状態になったということで出来上がりです。1000倍にして、カルシウムを効かせたいときに使用します。これは吸収が良いのです。

 次は水溶性リン酸カルシウムですが、普通は豚や牛の骨を焼いて砕きますが、この日は、もっとも手に入りやすいという事で鶏の骨を使用しました。鶏の骨は天日にさらしてあったので、油や肉がついておらず、真っ白でした。それらを取る目的で焼きますが、ないので、そのまま砕きました。それを同じく玄米酢につけました。こちらは、反応はゆっくりなので、目には見えません。

 乳酸菌血清作りもしました。米の最初のとぎ汁を置いて3日目のものが準備されていました。ビンに牛乳を入れてそれにとぎ汁を注ぎます。しばらく置くと、たんぱく質と脂肪が分離して浮いてくるのですが、この日は混合しただけで終わりました。分離したら、下の液をとって保存します。




 最後は土着微生物の元だね作りです。杉の箱にご飯を入れて、仕込んで4日目。採取してきた土着微生物です。これが1番です。これを同量の黒砂糖に浸けます。これが土着微生物2番です。これを水で薄めて米ぬかと混合し、発酵させたものが土着微生物3番、これがいわゆる元だねです。しかし、自然農業ではこのままでは使用しません。この3番に同量の土を混ぜて発酵させたものを使用します。これが4番です。土は山の赤土と畑の土を半々にして混合します。


 この4番に炭や油粕などを混ぜてつくるのが土着微生物5番です。これがいわゆるボカシ肥料です。
この日は3番の仕込みをやりましたが、箱の中で行ったせいもあり、水分調整が難しかったです。




 最後に研修室でもう一度まとめの話をして、質疑応答です。納豆菌や光合成細菌などの培養はしないか?など、かなり突っ込んだ質問もあり、熱心さが伺われました。

 この日は愛媛大学の鶴見先生がいらっしゃっていました。鶴見先生が以前千葉県の農業高校にいたときにお世話になったことがあり、また、岩手での趙先生の講演会にも参加されていたそうです。愛媛大学ではおもしろい試みがなされていました。愛媛で就農予定の学生ならば、AO試験(自己推薦で、面接やレポート提出で審査)で入学できるというもの。ちょうど、泉さんの家に研修に入っていた学生が、そうやって入学している学生で、将来は親の後を継いで農業をやる予定との事。勉強の意欲を持っている若い人には大いに勉強してほしいですね。楽しみですね。

2010年5月26日水曜日

赤ちゃんの体重のお米で出産内祝い


 私にも昨年孫ができました。かわいいものですね! もちろんケイタイの待ち受け画面は孫の顔です。それはともかく、その出産の内祝いでとてもステキなものをいただいたのでご紹介します。それは赤ちゃんが生まれた時の体重と同じ量のお米です。持ってみると、3キロあまりのお米がずしりと重くて、まるで孫を抱いているように、いとおしく感じてしまいます。食べるのがもったいない様な感じです。







 グッドアイデアですね! 価格はいくらくらいなんだろうと、ネットで検索してみると、まあ、ずらーっといろんな会社が出てきて、ネットの世界ではどこでもやっている企画なんだと知りました。



 パッケージが各社工夫を凝らしていて、おくるみにくるまれた赤ちゃん型のものやハート型、名前はもちろんですが、赤ちゃんの顔写真をプリントしたものなど色々です。

 その展開形で、結婚式で新郎新婦が両親に送るプレゼントというのもありました。自分たちの生まれたときの体重のお米です。それを抱いて生まれたときの感動を思い出してもらい、育ててくれた感謝の気持ちにかえるというもの。これもけっこううけるかもしれませんね。
 価格は3キロで3000円くらいが主流でしたが、結婚式に両親におくるのは2つで2万円!くらいでした。そりゃあ、パッケージも華やかで豪華にはしてありましたが、6~7キロでこの値段ですよ!

 これからは農産物の販売もアイデアですね。

2010年4月22日木曜日

水俣の吉田浩司さんの畑を見学しました

 4月19日水俣の吉田浩司さんの畑を見学しました。農業を始めて10年が過ぎ、現在は二町八反の畑に、不知火、河内晩柑、グレープフルーツを中心に、13~14種類の柑橘を栽培しています。
 労働力が一人なので結構大変そうです。







 自然農業を始めたきっかけは、同じ水俣に住む新田九州男さんとの出会いから。「ともかく自然農業の基本講習会を受けなさい」と言われ、夫婦で基本講習会を受講しました。そのとき、奥さんのお腹の中には赤ちゃんがいました。その子も現在は8才、続いて二人が生まれ、現在は3人の子どものパパになりました。









園も思い切って、それまであった木を切って、品種の切り替えを行ったり、段々をけずって、広くしたり、機械が通れるようにしたり、様々な基盤造成を行ってきました。写真はグレープフルーツ若木です。





 奥さんのお父さんの死をきっかけに入った農業。これまでの十年間は、ともかく無我夢中で自分の畑やみかんの木と取り組んできたけど、これからはもう少し外とのつながりも作って行きたい、と言います。



河内晩柑がいっぱい実っていました!




味はもちろん、おいしい! 甘くて、深い味がします。グレープフルーツはすっぱいけど糖度計で計ってみると15度もありました。輸入ものとは比較にもなりません。国産のグレープフルーツはめずらしいですね。しかも自然農業で無農薬。消費者にも喜ばれているそうです。
 左の写真をご覧ください。実がしっかりつまってるでしょう。それでも果汁たっぷりでジューシー。砂糖なしでも食べられますよ。






これは剪定枝などをチップにする機械です。竹のチップもできるそうです。これで簡単に堆肥の材料になります。

この機械のお陰で、草は返し、枝も返し、持ち出すのは収穫した実だけになった、との事。




 

2010年4月20日火曜日

水俣のお茶農家を訪問しました

 くまもと有機農業推進ネットワークの行事に参加した翌日、参加者の吉野さんのお茶園を訪ねました。



 吉野さんのお茶畑は、水俣の湯の鶴温泉をさらに、山の方へ上っていった先にあります。途中にはきれいな棚田がありました。ぐるぐる山道を登って急に開けたところがお茶畑です。







 最近の異常気象の影響で、葉っぱの先が茶色く変色していました。これでは一番茶は絶望的だそうです。これを刈り込んでも二番茶の出来にも影響を及ぼすとの事。



 最近の消費者のお茶ばなれで、消費が伸び悩んでいるところ、この事態でダブルパンチです。いくら有機栽培で産直をしていても、経営はなかなか大変とのことです。
 これでまた、お茶をやめる農家が出るだろうとの事でした。

 製茶工場も見学しました。8人の農家で共同使用しているそうで、とても大きな施設でした。吉野さんは有機JAS認証をとっているので、ラインで混ざらないように、朝一番に機械にかけているそうです。
慣行農法では、化学肥料の多投もそうですが、農薬の回数も7,8回、多い人は十回以上も散布するそうです。除草剤も使用します。どこの農家でも事情は同じかもしれませんが、やはり人手不足が大きな原因でしょう。なるべく手をかけないで、見た目のいいものを生産して、単価のいいものに仕上げるためにはしかたのないことなのかもしれません。
 しかし、消費者の立場、環境を守る立場からすればとんでもない話です。


消費者の健康、環境を守るために頑張っている農家を応援したいと思います。

くまもと有機農業推進ネットワークの集会に参加してきました

 2010年4月18日、水俣市湯の鶴温泉「喜久屋」で、くまもと有機農業推進ネットワーク水俣・芦北交流会が開かれ、参加しました。くまもと有機農業推進ネットワークは、国の有機農業推進法を受けて、熊本県内の有機農業者のネットワークを作ろうという事で設立されました。現在各地域で交流会がひらかれているそうで、今回は水俣と芦北地区の交流会でした。参加者は50名以上集まり、今までで一番集まった、と主催者の方が言っていました。
 一部は東海大学の片野学先生の講演です。農薬の問題も深刻だが、硝酸性チッ素の問題も大きいと、各地の残留値を紹介しました。化学肥料のやりすぎだけでなく、牛をはじめとする家畜の厩堆肥の問題もある。お茶などは農協では反当50~60キロも施肥するよう指導しているそうです。それらが土の中にも残留して健康にも害を及ぼしている。日本で一番糖尿病の多いのが熊本県、ついで鹿児島県、宮崎県だそうです。


 この写真の本は片野先生が講演したものをまとめた小冊子です。めばえ社(1,050円) 資料も豊富に入れて編集してあり、読み応えのあるものになっています。





















 この交流会には水俣市長の参加されていました。


 普通、このような行事に市長本人が参加されるのはめずらしい事です。多いのは代理人があいさつ文を読み上げるというパターンです。


ところが水俣市長は、挨拶だけでなく、最後まで話を聞いていかれました。産業廃棄物施設反対で市民の支持を得て当選した市長です。

 これからは環境を考えた農業に、積極的に関わってほしいですね。

 二部は、水俣・芦北で活躍する有農業者の報告です。最初は田ノ浦の鶴田志郎さんです。

柑橘類の栽培を中心に行いながら、株式会社マルタという組織をたちあげ、現在、生産者は1200名うち97名が有機JASの認証を受けているそうです。お父さんは甘夏を作ったことで有名な鶴田源志さんで、自然農業の第一回の基本講習会の参加者でした。


 次は水俣で柑橘を栽培している吉田浩司さん。自然農業の若手ホープの一人です。11年前新田九州男さんとの出会いから自然農業に取り組み始め、現在は不知火、河内晩柑、グレープフルーツを中心に様々な柑橘を栽培し、年間を通して収入をあげる経営をしています。学んだことは①あせらない②油断しない③変化をおそれず。基盤造成だったこの十年、これからは外とのつながりも求めて行きたいと語った。

 三番目は反農連の大沢さん。最近は栃木県のアジア学院から、アジア・アフリカの有機農業指導者になるために研修生を受け入れるなど、国際交流も行っているそうだ。






 四番目は水俣不知火ネットワークの谷洋一さん。長年水俣病問題に取り組み、患者さんたちの農業を支えてきた。公害の水俣だからこそ、環境を考える農業をということで、30年以上前から無農薬栽培に取り組む。販売はポラン広場やビオマーケットなどに行っている。都会とのネットワークの広さはすごいものがあります。


 五番目は水俣でお茶を栽培する吉野啓子さん。栽培担当はご主人で、販売などその他の部分でサポートしてきた。水俣のお茶を通して、環境を守ることの大切さを訴えてきた。あるデパートの試飲販売を行っていたとき、水俣と聞いて、ひいてしまったお客さんがいた。そのとき初めて水俣に住んでいる人たちが受けてきた差別に気づかされた。最近は若い人が水俣病のことすら知らないという問題も出てきた。お茶の販売は伸び悩んでいるが、これからは海外に打って出たいと元気いっぱいの挨拶でした。

 最後は水俣で柑橘を栽培する新田九州男さん。自然農業に取り組むまで、様々な微生物資材をやってみたが、土着微生物が一番いい。お金をかければ儲からず、お金をかけなければもうかる、という名言が出ました。

 楽しそうに農業を語る姿が印象的でした。
写真は新田さんのうんしゅうみかんで作ったジュースです。
 甘くて適度に酸味もあり、深い味がします。