2009年4月1日水曜日

ブラジルへ行ってきました(3)

モイゼース氏の自然農業の取り組み


 3月6日 マカパの向かいにあるサンタナ島へ向かいました。雨のため船の中で少し待機した後、10時頃モイゼース氏を訪ねました。モイゼース氏はサンタナ農業改良普及所の畜産技師であり、獣医の資格も持っている方です。
 ここに農務局農業技師、RURAP(アマパ州農業改良普及所)の普及員、農林局の技師など10人程集まり、一緒に見学しました。モイゼース氏は養鶏など他の畜産も行っているが、この日は養豚を中心に見学しました。












  氏が作った天恵緑汁と土着微生物の元種も見せてもらいまし。天恵緑汁は一つの材料だけで仕込むのが基本ですが、氏は葉っぱや果実など様々混合して仕込んでいました。



















 モーゼス氏の豚舎は従来型のオガクズ豚舎でしたが、高松氏に自然農業式養豚の話を聞き、さっそく2週間前発酵床に切り替えたそうです。臭いもしないし、餌代が30%削減できたと喜んでいjました。
 発酵床は雨のせいもあるかもしれませんが、やや湿度が高いようでした。原因の一つは発酵飼料を床前面にまいていることだと思いました。発酵飼料だけでなく、イネ科の草がそのまま入れられており、それらの食べ残しが豚の糞と一緒になって、分解されずにそのまま残っていました。恐らく、「床がエサに変わる」という事で床を全部エサ場にしてしまったせいでしょう。そこで、「ここは豚の生活の場だから、台所もあればリビングルームもあって、トイレもあるという区別が必要だ」という話をしました。

 次に自家配合しているエサ作りの小屋を見学しました。ここで様々な果実の種を機械で破砕し、材料として活用されていました。私はこれに土着微生物の元種と土を混合して発酵させたものを、エサの10~15%入れても豚の成長に差し支えない、という提案をしました。










 次にすぐそばの森の中に土着微生物の採取を行っている現場を見学しました。椰子の葉っぱの覆いを取ると、ご飯を入れて仕込んだ木の箱がありました。
  ピンクの紙のふたをとるとご飯は表面が薄い黄色のおかゆ状態になっていました。日本で同じ様に仕込むとご飯の粒は残っていて、その粒を白い菌が覆った状態になります、ブラジルは気温も湿度も高いので、三日でこの様になってしまったのかもしれません。モイゼース氏に聞くと、ご飯の材料は細かいくず米を使用したとの事なので、そのせいもあると思いました。「土着微生物は森の神様なので、ご飯をささげる気持ちで良い米を使用した方が良い」と話しました。また、この状態で培養しても使用できるので、すぐ引き上げるように話しました。


 次に発酵飼料を仕込んでいる小屋を見学しました。屋根つきのコンクリートの箱に様々な葉っぱや果実、茎などが刻まれて籾殻と混合されていた。天恵緑汁の絞りかすも入れられており、甘酸っぱい香りがしていました。
 発酵飼料の仕込み方として、米ぬかと混合し、袋に入れて口をしばる嫌気発酵と、土着微生物の元種を混合し、切り替えしていく好気発酵があるが、ここの場合、そのどちらでもない点が問題だと思ったので指摘しました。籾殻はそのままでは発酵しにくいので良くない事と、コンクリートの箱の中に雨が振り込んだせいか、水があるのが問題だと思いました。材料を切り返して、屋根はありますが、上を何かで覆う必要があると思いました。


 最後に母豚舎を見学しました。一つの部屋では子豚七匹が母豚のおっぱいを元気よく飲んでいました。ここは床がコンクリートで発酵床を積み上げたようだが、薄すぎて湿気が多かったです。母豚の糞尿の量を考えると、発酵床の層を20~30センチは積み上げる必要があるのではないかと思いました。
 また、板でかこってあったので、換気が悪いせいもあるかと思いました。屋根に10~15センチ直径の丸い穴でもいいので、一列に開けられないか尋ねましたが、雨が心配だという答えでした。多少の雨の降り込みより、換気を優先した方が良いのではないかと思いましたが、当地の事情もあるので今後の課題としました。


 見学が終わって、午後からは州の企画局で自然農業のセミナーを行いました。午前中に見学で集まった人たちとモイゼース氏が参加しました。セミナーは自然農業の基本の話をし、後はパワーポイントで自然農業の自家製資材作り及び養豚について説明しました。参加者の方々は、特に自然農業による農産物のすごさにびっくりしていました。
 最後に自然農業の取り組みは個人的に行うより、行政などの支援を得て、組織的に行われる方が効果があるという提案を行いました。アマパ州は州政府として取り組みを考えると言っていました。今後が楽しみです。

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