2009年2月5日木曜日

養豚勉強会がありました(2)

養豚から食肉加工まで

 豚舎の見学の後、中津川ぞいの旅館「こまや」で勉強会が開かれました。松下さんより、さらに詳しく全体の経営内容の説明がありました。現在養豚は母豚約300頭の一貫経営。エサは非遺伝子組み換えの大豆やトウモロコシを使用しています。味を良くするためサツマイモを使用し、肉骨粉は使用しないなど安全性にはこだわり、独自の指定配合をしています。
豚肉は同じく松下さんが経営する「有限会社中津ミート」で加工され、テーブルミートやハム・ソーセージになって販売されています。ハム・ソーセージは全て無添加で製造されており、関東を中心に生協や有機農産物の流通業者に出荷されています。
 おいしい無添加ハムを作るために「温屠体」という屠畜場で処理されたものをすぐ加工する方法を取っています。リン酸塩など発色剤や保存料をしようせず、さらに大豆タンパクも使用しない方法で、ドイツでは伝統的な製法だそうです。松下さんはハム・ソーセージの本場ドイツで製造方法を勉強しました。

養豚専門型経営の自然農業豚舎として

 参加者の方から、松下さんの新しい豚舎について感想や意見が出ました。今まで自然農業協会が推奨する自然農業豚舎は、趙漢珪先生が薦める母豚30頭の一貫経営で、米や果樹などとの複合経営を想定したものです。しかし、現実には今回の松下さんの場合のように、もっと大きな規模で養豚を専門とする農業経営もあります。むしろ日本ではその方が多いのではないでしょうか。その様な場合の一つのモデルとして考えたらどうかと思います。どの様な議論が出たか一部をご紹介します。

発酵床についての議論

瀬戸「まず、床材として使用している植木の剪定枝のチップが大き過ぎる気がします。大きいと微生物がそれを小さく分解する方に力が行ってしまって、発酵が遅くなっている。家畜用ミネラルA液を入れたら発酵が全然変わります。飲ませたり、床に散布したりしてもいいし。」
 池「堆肥を作る様に考えたらいいと思う」
松下「そうです。堆肥舎の上に豚を飼うイメージで考えています」
志藤「いや、堆肥とは違うと思います。家では冬場は雪が吹き込んで床の管理が大変ですが、夏場はほとんど手をかけなくても大丈夫です。豚舎の床というのは表面部分の発酵層が大事なのではないでしょうか。床を掘ると50センチぐらい下は、まったく新しい、入れたときのままのオガクズが出てきます。下から全部切り返す必要があるでしょうか。むしろ、発酵していない、下の層の部分の役割も大事なのではないかと思うのです」
 池「つまりC/N比という事になる。窒素分の補給が大事では私の地域では乳牛の牛舎に、近くの競馬場から持ってきたオガクズを入れています。もどし堆肥もいいと思う」
瀬戸「今までの豚舎から堆肥を持ってきたらどうでしょうか。母豚舎から糞を持ってきてやると子豚が安心するという事もあるし。発酵層はいわばふとんみたいなものだから」
 等等、発酵について語りだすと、皆一家言持っているのが自然農業の会員です。まだ、豚舎に豚の導入が始まったばかりで、発酵床も始めたばかりなので、今後豚舎が全部豚で埋まってどうなるか、「やってみないとわからない部分が多いと思ってます」と松下さん。そうしたらまた勉強会を開く事になりました。

 中津ミートを見学

 翌朝、中津ミートの工場を見学しました。松下さんとは付き合いが長く、今の工場になる前の小さな工場も知っている私にとってはこの工場は大きいと思うのですが、従業員の方も増えて、それぞれのパートで忙しそうに働いて隙間をぬって見学させてもらっていると、松下さんが「手狭なのでもっと大きくしたい」と言うのも肯けます。
 枝肉がぶらさがっている冷蔵庫から始まって、脱骨、部位別にカット、スライスしてパック詰め、と作業工程にそって見学しました。「自然養豚の豚肉はしまりがよくて、とてもいい肉が出来ます」と松下さん。今回見学した新しい豚舎の前に小さめの自然養豚の豚舎を建てているので、そういう感想を話してくれました。

 次はベーコンや焼豚などを作る燻燃機に始まり、ウインナーの製造過程の見学です。機械はドイツ製が多いそうです。「いい物を作るには、やはり機械もいい物を揃えないとだめ」との事。
 最後のパッキングの部屋は遠くから眺めました。無菌室という事で部外者は立ち入り禁止なのです。衛生面では非常に細かく神経を使っていました。さらに大きな工場を作るときは、見学コースを別に作って、製造過程がわかるようにし、小学生などを受け入れたいと松下さんは言いました。夢はつきないようです。
写真は左から松下さん、瀬戸さん、湯浅さん

1 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

読みました。